WINTER HAMMOCK CAMPING

WINTER HAMMOCK CAMPING

WINTER HAMMOCK CAMPING

皆さんはハンモックで夜を過ごしたことがありますか? 知名度が高いわりには、あまりユーザーを見かけないハンモックを使って、寒い森の中でキャンプしてみました。 実は、スタンスケープオンラインストアで販売を計画している、ポーランドブランドの製品テストの一幕です。 テストは夜間の冷え込みが厳しい3月初旬に実施。 この時期のハンモック泊は、一体どのような体験をもたらしてくれるのでしょうか。

気温0度の震える寒さの山中で、ハンモックに包まれて眠ってみた。

本当に眠ることができるのか、正直に言えばかなり心配だった。なにしろ手持ちの寝袋は、3シーズン用。耐用気温は冬の山中で使うことを想定されていない。それでも、インナーウェアに真冬のバイクレース用に購入した最新ウール素材の上下、そしてさらにフリースと薄手のダウンを着込んでいたので、なんとかなるだろうと(甘く)考えていた。いざとなれば、車中泊に逃げ込むという手もある。

ハンモックメーカーの名前は、LESOVIK(レソビック)。
日本ではまだ発売されていないポーランドのブランドだ。

使われているマテリアルは全て最高素材で、かつ細部に至るまで気の利いたフィニッシュが気に入り、このスタンスケープでも輸入の取り扱いを開始することにした。今回の寒中ハンモックは取扱の採用を決めるテストでもあったのだ。「冬の寒さの中、どこまで快適に寝られるのか」が課題の、体を張った実験とも言える(仕事はいつも厳しい)。

ところで世の中は今、第何次かのアウトドアブームらしいけれど、ハンモックで寝泊まりをしているキャンパーはどの程度いるのだろうか。キャンプ場ではあまり見かけることがないので、恐らくそれほど多くのハンモッカーがいるとは思えない。マーケットとしてのハンモックは随分と小さそうだ。にも関わらず仕事としてハンモックを取り扱ってみたいと考えたのは、ハンモックが内包する世界観に強烈に惹かれたからだ。

今では殆ど見ることもないが、ボクが子供の頃には西部劇をテレビでよく放送していた。劇中で印象的なシーンが、カウボーイの夜の過ごした方。何もない荒野に風を遮る岩場を見つけ、焚き火を起こして、ウィスキーを飲む。そして、そのままごろんとブランケットを被って寝てしまう。今思えば乾燥しきった土地だからこそ可能な、シンプルかつ効率的な野宿スタイルだったのだろう。とにかくその手の映像には男心をくすぐると言うか、何か憧憬を抱かせる強い印象がある。ボクのキャンプにおける原風景は、こうしたシーンに大きな影響を受けている。

限りなくシンプルに、大地と一体化するように。

日頃、ボクがキャンプに持参するのは山岳用の一人用テントに小さなチェアやテーブル、それにコンパクトな割に、大きめの薪を乱暴に重ねても安定感を損なわないモノラルの焚き火台程度(これはお勧めですよ)。タープすら持っていないので、予期せぬ雨が降ってきそうなら大きな木の下に隠れるか、雨が酷くなるようならそのまま帰ってしまうことすらある(軟弱なのだ)。

そんなボクにとって、ハンモックでの寝泊まりは魅力に溢れている。ハンモックの横には小さな焚き火とテーブルのみ。肉を焼いてワインを飲み、お腹が膨れたらゴロンとハンモックに横になって心地よく包まれるだけ。まさに、あの西部劇の男どもと同じ、野宿スタイルとも言えるシーンが再現できる。

突然の雨でも夜露しのぎのタープがしっかりと守ってくれる上に、どんな豪雨でも空に浮かんだハンモックであれば平気なのだ。他の道具やカバーの類も、ハンモックの下に吊るしたギアバッグ「HUBA(フーバ)」に収納しておけば濡れることもない。

雨が降り続く朝の撤収も、ハンモックならばスマートに終えられる。タープを張ったままの状態で先にハンモック類を回収して仕舞えば、雨に濡れることなく撤収作業が終えられる。最後の最後にタープを回収することになるが、その時だけは雨に濡れてしまうけれど。

さて、今回は3シーズン用の薄い寝袋で夜を過ごした。シンプルで軽量な野営に、分厚い寝袋を持ち込まずにどこまで耐えられるのかを試したかったからだ。

とはいえ、ここで大きな失敗が発覚。実はスリーピングマットを持ち込むのを忘れてしまったのだ。そのため、背中部分が寒くて、夜中に一度目が覚めてしまってからは、結構辛かった。それでもマットを敷けば問題ないと思える程度だったので、近々もう一度試してみようと思う。

何よりもう一度、あの感覚を感じたい。

ハンモックに包まれて寝る一夜は、ボク自身が自然の一部に化したような、素晴らしい経験だったのだ。

今年の夏はハンモックのソロキャンプにどっぷりとハマりそうだ。

しゅう Shuichi Ashikaga

LESOVIK PRODUCT