SJ編集長エッセイ

WANDERLUST

特別編 002

OMM BIKE HAKUBA 2021

OMM BIKE 002

SJ編集長エッセイ

WANDERLUST

特別編 002

OMM BIKE HAKUBA 2021

いよいよスタート!の前にコーヒーと目玉焼き

それにしても暑い!2日前までの梅雨空が嘘のような今日の信州の天気。灼ける陽射しと熱された鉄板のように陽炎ゆらめく路面温度から、過酷さが伝わってきます。

OMM BIKE初日。レーススタート2時間前。

ボクたちは前日に設営したベースキャンプという名のテントサイトで、ベーコンエッグと淹れたての猿田彦コーヒーを片手に、スタート前の作戦会議に望んでいました。全員初出場という4名チームなので、今日1日をどう楽しむのかというコンセプトの再確認が大切。

本日のコーヒーは、RIVERS x MSR x 猿田彦でございます
朝から優雅な時間。なんてチルなんだ。

チーム発足式を兼ねた事前の親睦会では、「オレたち、真剣に優勝を狙うようなチームじゃないよね」「初めてなんだし、楽しみましょう」という、ゆるゆる作戦の予定でしたが、いざスタート数時間前となると心地よい緊張感とともに、真剣な作戦会議の風味が増してきて。。。

楽しむことが目的と言いつつも、楽しみかたにも人それぞれの解釈があることが、このブリーフィングから伝わってきます。

つまり、《楽しい=ゆる〜く、気楽にやる》という認識に立つのか、《楽しい=積極的に頑張ろう!》なのか、ということです。

場合によってはチームが分断されるような違いですが、平均年齢高めの我がチームは誠にスムーズにその差を調整し、大雑把な作戦が一つにまとまります。

その作戦とは、

とりあえず一番遠いCPまで進み、
登れる限りの山道を頑張って登ってみよう。
坂がツラくなったら素直に諦めよう。
来た道を戻りつつ、点在するCPを拾って早めにゴールしよう。
美味しいものを食べよう

なんとなくそれっぽいですが、最後に怪しい目標も含まれていますね。

別の言葉で表現すると、「いけるところまで行ったら、あとは成り行きで決めましょう」。
人生の酸いも甘いも知り尽くした大人の中庸戦略。

主催者から支給されたマップを読み込む編集長。でもほとんど理解していない、の図。

ということで、作戦も決まって準備完了。ここで記念撮影です。フォトグラファーのスズキさんは競技会場の雰囲気がよくわかる場所を、さりげなく下調べしてました。さすがプロ、ソツがない!

後ろに見えるテント村のさらに向こうがスタート場所
時期が時期だけに仕方ないけど、少しばかり銀行強盗ルックな我々
我らの救世主。もっと水をぶっかけてくれ。

選手の列に向けて放たれる散水を浴びて、涼みながらスタートを待っていると、いよいよスタートのカウントダウンが始まりました。

「3、2、1、スタート!」

例年なら豪勢に全員一斉スタート。でも今年はコロナ事情のため、並んだ順番で1チームごとにスタートします。何となく地味だけど、これはこれで良い雰囲気でした。

ついに始まりました。それにしても暑苦しい見た目の我がチームよ。

ミッション。チェックポイントを探せ!

さて我がチームの戦略に従って、まずは与えられた地図の最南端エリアを目指します。国道沿いを南下しつつ、途中いくつかCPの近くを通るので、そこで練習を兼ねてCPポイントを獲得する予定。

キャンプエリアが比較的高い場所にあるので、スタート直後から白馬岩岳の山々を背にして快適に坂を駆け下ります。すると、これまでの暑さを忘れるような涼しい風が。さすが信州。自転車だと、走行風のおかげで暑さが随分と軽減されて、これなら暑くてもいける!と気持ちが一気に楽になりました。

蒼い空色のキャンバスに描かれた、大きく揺蕩う白い積雲、そして雪渓を残す山々。
長い平坦な国道を4人のバイクが滑走します。
みんな口々に「気持ちいいー」「サイコ―」と叫びつつ、最初のCPへ。

この景色の中を走るって最高じゃないですかとご満悦のオオイシさん

さて、OMM BIKE最重要ツールの一つが主催者から支給されるマップ。これがないと競技になりません。このマップ上に◯印で囲まれた場所がCPの場所になります。

地図上に小さなピンクの丸印がCPを示す場所。アルファベットはCPの識別コードです。

参加者はCPに辿り着く度に、チームに渡されたマーカーを設置されている専用機械に差し込み、CPに着いたことをデータとして記録していきます。

CPにあるこの記録端子にマーカーを差し込めばOK

事前のインフォメーションでは、CPを見つけるためには地図読みのスキルが要求されるということでしたが、問題は「どの程度の地図読みのスキル」が必要とされるのか。まずはいくつかのCPを探してみて、コツを掴まねば。

さてさて、早速最初のCP付近に到着。二つ目の高架下をくぐり抜けた道路のすぐ脇にCPあり、と読める地図を片手に付近を捜索します。が、全く見つからない。「あれ、おかしいな」「あっちじゃない?」「こっちじゃない?」と意見が錯綜すること約10分。

「ひょっとして、これってこの道じゃなくて、もう一本隣の道かな」と正解ルートを見つけて、全員で移動開始。いかにもな雰囲気の砂利道が出現し、あっさりとCP発見。

地元の人でも通らなさそうな、奥の細道に初CPが隠れてました

ここで何となくわかったのが、○印で囲われる部分が考えていたよりも広大なため、考えていたよりも時間をかけて探し回らなければならないということ。

そして不思議なことに、さっきまでたくさんいた他チームがほとんどいなくなりました。CPはかなり広範なエリアに点在し、どのCPとCPを結びつけるかというルート作りが大事なポイント。それぞれのチーム作戦が違うので、自然と四方八方のCPを目指してバラバラになってしまったようです。

なので、「迷ったら他チームの後にくっついちゃえ」とズル(参考)しようにも、そもそも他チームに出会うことが少ない。つまり、迷っても自力で正解ルートを見つけるしかないんですね。

なるほど、これは結構手強いなぁ。

最初のCPを見つけた喜びとともに、この競技の難しさを改めて予感するのでした。

(またまた続く)

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